本のキュレーター勉強会

成毛眞さんを講師とする「本のキュレーター勉強会」に参加できることになりました。書評をアップするブログが必要、ということで、2回だけ書いて2年近く放置していたこのブログを復活させます。

2002年から書評めいたことを書いていますが、実は書評という言葉がしっくり来ず、これまでは、人には「いい本を読者に買ってもらえるような「本の紹介』を書いている」と説明していたのですが、twitterでつぶやかれた「本のキュレーター」という言葉を聞いて、自分がやってきた、あるいはやろうとしてきたことは、これだ! と思いました。

一方で、9年(!)も本について書いていると、どこか倦んでくるところがあり、生まれて始めて本について書いたときのような、真剣な気持ちになるには、何か刺激や気持ちを刷新するための要素が必要だと感じてもいました。

そこで、すぐさま、応募する気持ちを固めたのですが、正直、選ばれる自信はまったくなかったです。選考基準は、「2010年に読んだ新刊本おすすめトップ10書名リスト」および「2010年ナンバーワンのおすすめ本の400−800字の書評」を送ることでしたが、今年は個人的にあまり、いい本に当たらず、だめだろうな、と思っていました。
成毛さんのブログの、「本のキュレーター」 決定通知を読めばわかるように運の要素もありました。経済やビジネスの本、僕はぎりぎりの2冊でした。しかも「広義の、」というただし書きが必要な、決して経済やビジネスの王道の本ではないものでした。本の選び方が少し違えば「経済社会から距離のある専門的読書人 」と判断される可能性も十分あったし、僕は行動経済学統計学の読み物が大好きなので、今年がもしそういう本の当たり年だったとしたら、「ビジネス分野の専門読書人 」とされていたかも知れません。

運が良かった、という点も含め、とにかく嬉しい気持ちです。大学に合格したときよりも、出版社の内定をもらったときよりも。
 フリーランスという自由な立場にいて、だらしのない私が、自分を律して、なかなかできなかったこと、すなわち、一から、本とまじめに向き合い、きちんと真剣に、本について書くことのきっかけが得られたことが何より嬉しい。本作りに真剣に取り組み、本当にいい本を作った著者、編集者、装丁家の思いが、読者に伝わり、実際に読者がその本のページを繰ることになるような文章を書きたいです。

やはり勉強会に参加される他の方が選んだ本を見ても嬉しい気持ちになりました。選ぶ、という行為だけで、通じるもの、感じるものがありますね。

 この先は蛇足。
これまで可能な限り、文壇や業界から遠くはなれ、本そのものと向き合おうと思っていたので、著者インタビューなども、本当に話を聞きたい人、あるいは断りきれない場合を除き、積極的に行っては来なかったのですが、「キュレーター」という発想であれば、(業界とベタベタの関係にならないように細心の注意を払いつつ、)インタビューも絡めて作品と作り手個人を結びつけるアプローチも広がる気もします。そういう意味でも、「本のキュレーター」という概念には、未来が拓けてゆくような感覚を覚えます。